住友電工グループ社会貢献基金

地球環境システム講座

講座の概要

住友電工グループ社会貢献基金より寄附をいただき、2023年6月1日より寄附講座「地球環境システム講座」を開設しました。

日本をはじめ多くの国がCO2排出量を実質的にゼロとする目標を宣言し、世界は全球平均気温上昇を1.5℃以内に抑える国際目標に本格的に進んでいる。最新のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書によると、1.5℃以内に気温上昇を抑える多くのシナリオは、21世紀後半には単なる排出削減だけではなく、相応量のCO2を大気中から回収する技術(以降CDR: Carbon Dioxide Removableと呼ぶ)に依存している。しかし、現状では様々な技術オプションの組み合わせとそれらに付随するリスク、シナジーやトレードオフ等の包括的な評価が不足している。そこで本講座では、グローバル統合評価モデルを用いて、温室効果ガス(GHG)排出量ゼロ及び吸収を実現する革新的技術の有効性と限界を社会・経済・技術的観点から評価し、様々な社会・環境的な副次的な影響と併せて提示することを目標とする。排出削減技術には各種省エネ・電化技術、水素・アンモニア・合成燃料の利用、再エネ、農業排出削減技術等を、CDR技術としてはCCS(炭素隔離貯蔵)付バイオマスの利用、CO2直接空気回収、植林、土壌炭素貯留の4つを中核的な対象技術とする。本寄附講座は学際的な学術活動を行いつつ、広範囲の業種に跨る企業の脱炭素活動を支援する研究活動を通じて持続可能な企業活動を実現する高度なスキルと経験を持つ人材を社会へ輩出する。


メンバー(詳しくはメンバーページ参照)

藤森真一郎 教授(兼任)

長谷川知子 特定准教授(立命館大学とのクロスアポイントメント)

Saritha Vishwanathan 特定助教

研究内容

農業・土地利用モデルの開発

本テーマでは、2030年から2100年といった短中長期に及ぶグローバル・アジア・日本などの農業・土地利用をグリッドベースのモデルと国別モデルを用いて推計する。また、気候変動と農業市場・食料安全保障なや生物多様性の相互関係等を明らかにする。生物多様性保全と気候変動解決は両立しうるのか?我々の食生活はどのような変化が求められるのか?本テーマは、そんな問いに答えます。

国別シナリオの構築とそのための汎用手法の開発

世界全体での脱炭素や排出削減目標がある程度定まってきた近年の状況を考えると、統合評価モデルにより具体的かつ実際の政策に有用な研究が求められることはほぼ必然である。最新のIPCCの報告書では初めて、第三作業部会で国別シナリオを中心的に取り扱う章ができた。これらを考えると、今後5-10年の間に国別シナリオの重要性はますます上がっていくと思われる。本テーマ、世界各国の脱炭素目標を整合的かつ国横断的に解析するにはどうしたらよいのか、という問いを中心的に検討する。

場所

京都大学桂キャンパスCクラスターC1-3 361、362、363、367、391号室を使用